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「熱いお風呂が好き」
確かに熱いお風呂は気持ちがいいですよね。
少し熱い位のお風呂に入る方が体の中の悪い物質も汗と一緒に出ていってくれそうですし、
「デトックス効果も期待できそう」
なんて思ったりもするかもしれません。
熱いお湯が体から排出する老廃物を溶かしてくれるようなイメージさえ持つのではないでしょうか。
しかし、
実際には熱いお風呂は体に良くないのです。
疲れが取れないばかりか血圧や睡眠にも悪影響を及ぼします。
では、熱いお風呂の何が悪いのでしょうか。
その理由と影響についてみていきましょう。
悪い理由を知った上で、人が熱いお風呂を好む理由と適切なお風呂の入り方についても紹介します。
目次
熱いお風呂で“疲れ取れない”その理由
“寝起きの悪い朝に入ると気分がシャキッとして気持ちがいい”と感じる方も多いようです。
また、夜に入る熱いお風呂も何だか達成感に似た感情を味わうことができるという人も沢山いるようですね。
実は人が熱いお風呂を好むのには理由があるのですがそれは最後に紹介させて頂きます。
まずは、いかに熱いお風呂が体に悪いのかについて紹介します。
脳内麻薬の分泌は危険信号!
まず、熱いお風呂とは何度のお湯のことを指すのでしょうか。
一般的には42℃以上のお湯のことを熱いお風呂といいます。
この42℃以上のお湯は確かに気持ちが良いのかもしれません。
なぜなら熱いお湯に浸かることにより“脳内麻薬が分泌される”と様々な実験データにもあるのです。
どういうことかと言いますと、例えばランナーズハイという言葉がありますよね。
マラソンランナーが走っている時の苦しい中で覚える快感や陶酔感を味わうことをいいます。
これは、刺激を受けることに対して痛みを感じなくさせるために脳内麻薬が分泌されることでもたらされます。
それがなんと、お風呂でも同じ現象が起きるのです。
熱いお湯のお風呂に入ることでその“熱い”刺激が脳に伝わります。
そして、β-エンドルフィンという物質が分泌されるのです。この物質は麻薬であるモルヒネの一種なのですね。
快感だけを味わえるのなら確かに良いのでしょう。
しかし、これは歴とした体の防衛反応なのです。
防衛のために仕方なく体が分泌せざるをえない状況にあるともいえるでしょう。
[deco_bg image=”paper1″ width=”400″]
- 熱い
↓
- 守らなきゃ
↓
- 快楽ホルモン出そう
↓
- β-エンドルフィン分泌で防御
[/deco_bg]
こういう流れができる訳です。
熱いお風呂に入った人の血液にはβ-エンドルフィンが見受けられるのですが、つまりは危険を感じて防衛本能が働いているとも言えるのです。
要するに痛みを脳内麻薬によって防御していますが、実のところ体はダメージを受けています。
熱いお風呂では疲れが取れないばかりか疲労を自ら加速させているのです。
次に、交感神経の働きの観点から危険性についてみていきましょう。
交感神経が活発化されてストレスに!
まず、熱い湯船につかることで交感神経が活発化します。
朝風呂が気持ちいいと感じるのはこのためなのです。朝に熱めのお風呂を勧める例もありますが、確かに一時的な体の目覚めには効果的な面もあるようです。
しかし、それなりのリスクもあります。
ストレスに至るまで
交感神経が活発に働くことにより確かに体は活動的になります。
42℃以上の熱い湯船に浸かることで気分を“シャキッ”としてくれます。
サッパリとして気持ちもいいでしょうが仕組みを知ると少し躊躇するのでは無いでしょうか。
何よりも悪いことは交感神経を必要以上に刺激することなのです。
仕組みは次の通りとなります。
[deco_bg image=”paper1″ width=”400″]
- 熱い湯船に浸かる
- 交感神経が活発になる
- 筋肉と血管が収縮する
- 血圧を上昇させる
- 体にストレスを与える
- 疲れを生じる
[/deco_bg]
気持ちよさの代償として最後には疲れを生じさせてしまうのです。
肩こりなどの仕組みとも共通する仕組みがあります。熱いお風呂が好きな方で肩こりもある方は肩こりの原因とその仕組み!を併せてお読み頂くとより理解が深まるかと思います。
風邪で病院に行った時に次のように言われたことはありませんか?
[deco_bg image=”paper1″ width=”400″]
「お風呂には入らないで下さい」
「お風呂に入らずにシャワーで汗を流す程度にして下さい」
「入浴の際はぬるめのお風呂に短時間で入って下さい」
[/deco_bg]
一度は経験があるかと思います。この言葉の意味は湯冷めを心配しているだけの言葉ではないのです。
医者が入浴に対しての注意をするのは患者の体力をむやみに消耗させないためなのです。入浴による体へのストレスや体力の消耗を回避するためなのですね。
健康な時ですら熱いお風呂は体に良くありません。体調が悪いときにはなおさらなのです。回復時期を遅らせることになり兼ねないのです。
「適切な温度で適切な時間のお風呂に入って下さい」
なんていうのも個人の好みもあって難しいですよね。入浴は毎日の習慣的なことですから。
そのため、「お風呂は入らないで」で済ませることがベターなのですね。
「体にストレスを与えないで」と同義に捉えるくらいが丁度良いのでしょう。
ちなみに交感神経と副交感神経については次の働きがあります。
活動時、ストレスを感じる時、緊張時
体の回復時、リラックス時、休息時
「あなたのお風呂の目的はどちらでしょうか?」
疲れを取るつもりのお風呂のはずが疲れが取れないのであれば入浴の仕方に問題があるのかもしれませんね。
補足 湯冷めする訳
湯冷めの原理は次の通りですのでご参考ください。
お風呂で熱を持った体から湯気が出ます。この時にカロリー(熱量)を奪います。水分が蒸発する時に持っている熱を余計に奪ってしまい体温を低下させてしまうのです。
結果、体が冷えてしまい快方に向かわないので注意が必要です。
血圧上昇の危険
血圧の上昇には気をつけましょう。
交感神経を刺激することで血管は収縮して血圧を上昇させてしまいます。
実は、人には血圧の周期があります。
なかでも午前中は血圧が上がっているタイミングです。そのため、朝風呂で熱い湯船につかることは危険なのです。
お風呂における激しい血圧変動
お風呂場は激しい血圧変動の場所です。
ヒートショックと呼ばれます。血圧の乱高下自体が悪いだけでなく、体にストレスを与えて疲れを増長させてしまいます。
お風呂場のでの血圧変動を少し知っているだけで入浴への意識も変わっていきます。
それでは、入浴の際の血圧変動について順序立てて見ていきましょう。
[deco_bg image=”paper1″ width=”400″]
-
- 脱衣所で衣類を脱ぐ際に体が冷えてしまいます。
このため、熱を奪わせない働きがおきて毛細血管が収縮します。
→血圧上昇
-
- 熱い湯船に入る
交感神経が刺激されて血管が急激に収縮します。
→血圧急上昇
-
- 体が芯まで温まると血管が拡張します。
→血圧が下降
-
- 脱衣所で衣服を着る前に体が冷えてしまいます。
このため、熱を奪わせない働きがおきて毛細血管が収縮します。
→血圧が急上昇
[/deco_bg]
家の中で非常に血圧変動が激しい場所が脱衣所や風呂場です。
特に日頃から血圧が高い方は注意しておきましょう。
脱衣所での工夫
熱いお風呂に入らないことは身を守るために必要です。しかし、ひとまずは脱衣所の温度を上げてあげることである程度の防御ができます。
脱衣所で衣類を脱ぐ前には脱衣所を電気ストーブなどで温めておくなどすることで寒暖の差をなくすことができます。
寒暖の急激な差をなくすことができれば血圧の急激な乱高下も防ぐことができますね。
脱衣所に置くことのできる暖房器具は家にありませんか?
ぜひ探して設置してみて下さい。
睡眠の質を高める副交感神経
熱い湯船が交感神経を刺激することは紹介しました。
交感神経は本来は昼間の活動時に優位に働く自律神経です。
睡眠のタイミングでは副交感神経を優位に働かせることが必要です。
しかし、熱い湯船に浸かると交感神経が優位となり、睡眠の質を下げてしまいます。
睡眠の質を高めるためにもぬるめのお湯に浸かるようにしましょう。
睡眠の質を高めるためにも最適な入浴方法を紹介します。
湯船の温度はぬるめに設定を
交感神経を刺激したり、脳内麻薬を出したり血圧を乱高下させたりと熱い湯船は体によくはありません。
疲れを取るどころか逆にストレスを与えて疲れを与えてしまいます。
お風呂のお湯が熱いことが、いかに体に良くないことかがお分かり頂けましたでしょうか。
では、湯船の温度はどの程度が適温なのでしょうか。
好き嫌いもありますが、体のことを考えてあげるのであればひとまずは38~40℃に設定してみましょう。
体にとっての一番の敵は急激な刺激です。
自律神経にとっても急激な温度の変化はよくありません。
また、同じく血圧にとっても急激な変動はよくありませんよね。
ぬるめのお湯であれば交感神経に刺激を与えません。
副交感神経を優位にすることができます。
このことにより、心身ともにゆったりとさせてあげることができ、鎮静させる効果もあります。
血圧に対しても急激な変化をもたらしません。緩やかに下降させることができます。
また、ぬるめのお湯ですとゆったりと時間を掛けて湯船に浸かりやすいため、体の芯まで温まることができます。
芯まで温まると血圧の急激な変化も生じにくくなり、また、湯冷めもしにくくなります。
緩急を与えて体に無用な負荷を掛けることは極力やめておきましょう。
おうち岩盤浴などで温めのお湯につかってじっくりとデトックスするのも良いですね。
ラジウム温泉の温泉気分が自宅で再現できますのでオススメです。
半身浴は理想の入浴
疲労回復のための理想的な入浴方法は半身浴です。
半身浴は女子がやっているイメージがあるかもしれませんね。
しかし、最近では入浴方法の一つとして確立してきています。
単に流行りの入浴法などではなく、きちんとした根拠に基づいたものなのです。
半身浴のやり方
[deco_bg image=”paper1″ width=”400″]
- 湯船の高さを腰より5cm程度上の高さに設定する
- 設定温度は40℃程度
- 湯船に10~15分程度浸かる
- 肩の冷えが気になる場合はタオルを掛ける
[/deco_bg]
半身浴の良い点
[deco_bg image=”paper1″ width=”400″]
- 湯船に長く浸かることができる
- のぼせにくい
- 体の芯までゆっくりと温まる
- 心身のリラックス
- 無理のない血行促進
- 無理のない代謝のアップ
- 疲労物質の排出の促進
- 疲れの軽減
[/deco_bg]
これらに加えて入浴剤の工夫や好きな音楽をBGMで流すなどするとよりリラックスして入浴を楽しむことができますね。
まとめ
熱いお風呂の一時的な気持ちよさを取るのか。
それとも、少し後の快適さを取るのかは人それぞれの好みにもよります。
その上で、熱いお風呂による悪い影響が沢山あることを見てきました。
交感神経を刺激したり、血圧を上昇させるなどの健康への悪影響も懸念されますね。
お風呂が好きな方には熱いお風呂に入ることが習慣になっている人もいることでしょう。
これまでに、健康に過ごすことができているのであれば問題がないのかもしれません。
しかし、
ストレスがひどい。
疲れがなかなか取れない。
何だかしっかり眠れない。
など、体の不調が認められる場合は一度入浴習慣を見直してみるのも良いのではないでしょうか。
もしも年齢がそんなに若くないのであればなおさらですね。
折角の心地よいお風呂の時間です。
どうせなら健康にも良い時間にしていきたいものですね。
最後までお読み頂きありがとうございました。