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やっと歯が生え始めた赤ちゃん。
このころになると、どろどろの食べ物ばかりでなく、
徐々に離乳食を与えるようになってきて、
赤ちゃんの好き嫌いなども強くなってきます。
「味付けが濃いのが好きみたいで濃い味のごはんはよく食べるのよね~。」
って、ちょっと待ってください!
いくら赤ちゃんがごはんを食べてくれるからといっても、
過剰に塩分を使うと腎臓や体にもハイリスクです!
大人と違って赤ちゃんはまだ味覚が発達していません。
今、楽をして濃い味つけの食事を与えてしまうと、
後々困ったことになることも・・・!
では、離乳食に含める塩分量は、
いったいどれくらいがベストなのでしょうか。
塩分に頼らずに赤ちゃんがごはんをぱくぱく
食べてくれるためにはどうすればよいのでしょうか。
と、いうことで今回は、赤ちゃんの離乳食に含めるべき、
適切な塩分量の目安や基準についてまとめました。
目次
離乳食期の味覚と食塩の目標量
塩分は必要以上に摂取しても良いことはありません。
こと離乳食期の赤ちゃんにとってはなおさらです。
内蔵にとってもよくないばかりか、味覚障害や生活習慣病のリスクまで高まってしまうのです。
例えば赤ちゃんの味覚は大人の想像を遥かに超えて発達しています。
私達が味を感じることができるのは舌にある味蕾(みらい)によるものです。この味蕾の数が多ければ多いほど味覚を強く感じることができます。
この味蕾は子供時代に発達を終えてからは30代~40代の頃には約3分の1にまで減ってしまうのです。
つまりは30~40代の親世代と比較すると約3倍ほど味覚に敏感であるといえるのですね!
離乳食期の赤ちゃんのためには減塩の食生活は必須です。
塩分の目安が基準、また、腎臓をはじめとする内臓への悪い影響などについてみていきましょう。
冒頭では味覚が3倍程度子供のほうが敏感で優れていることを紹介しました。
大人のさじ加減では測れないものがあるのです。
大人と離乳食期の味覚の違い
塩分がついつい多くなってしまうのも人間の味覚が関係しています。
そこでまず、私達人間が感じる味にはどのようなものがあるのかを確認しておきましょう。
- 塩味
- 甘味
- 酸味
- 苦味
- 旨味
大きくこれらの5つの味に分類されます。
5つ合わせて“五原味(ゴゲンミ)”と呼ばれています。
このうちに母乳に含まれていないものがあります。
どれだと思われますでしょうか。
それは、酸味と苦味です。
離乳食期の赤ちゃんの好む味
この2つ以外の塩味と甘味と旨味は人間が生きていく上で本能的に好む味だとされています。母乳にも含まれており、赤ちゃんが好む味でもあるのです。
塩味を赤ちゃんは好みます。
このことからも塩分の摂りすぎには特に注意を払っておかなければなりません。
注意すべき時期は離乳食期からとなります。
では、どの程度の塩分量が適切な基準の目安なのでしょうか。まず、いつから与えるのが適切な時期なのかを紹介します。
塩はいつから与えるのか
塩は1歳以降から摂取させるようにしましょう。
離乳食やミルクなどでの食事も多いかと思います。
仮に大人の食べているものを離乳食用に調理する場合も大人が食べているものを分けてあげるのはやめておきましょう。
そうではなく、なるべく調理段階で取り分けておきましょう。
段階的に取り分けて別の味付けをした物を与えるように工夫するだけで塩分の取り過ぎは避けることができます。
1歳以上の目標量を次に紹介します。
できるだけ超えないようにしましょう。
ナトリウムの目標量(食塩相当量)
乳児期を過ぎた幼児期の1歳から7歳までの食塩の目標量(未満)は以下の通りです。
[deco_bg image=”paper1″ width=”500″]
1~2歳の男性では3.0g未満/1日、女性は3.5g未満/1日
3~5歳の男性では4.0g未満/1日、女性は4.5g未満/1日
6~7歳の男性では5.0g未満/1日、女性は5.5g未満/1日
『日本人の食事摂取基準2015』より
[/deco_bg]
まず、男性と女性で違ってくる点を留意しておきましょう。
第一子の女の子に与えた塩分と第二子の男の子に与える塩分の量は異なりますので同じ感覚で塩分を摂らせてはいけませんね。
また、数年の差でも塩分量の目標値は倍近くに変わってきます。乳児期を過ぎ他時期の塩分をいかに抑えていくかを工夫をしていかないといけませんね。
では、食塩によりどのようなリスクが考えられるのでしょうか。
5つのリスクに分けましたのでみていきましょう。
5つのリスク
離乳食期の赤ちゃんに塩が適量以上入った濃い味の食事を与えることは非常に危険です。
それでは5つのリスクを紹介します。
まず、1つ目です。
-
- 消化器官や腎臓への負担
未発達の成長しきっていない内臓へはとても大きな負担になります。腎臓の役割には“余分な塩分を排出すること”があります。
塩分が多ければ多いほど排出させようと頑張って働きます。そのために負担が掛かるのです。
次に2つ目から5つ目まで一気にみていきます。
-
- 味覚障害
塩分量などの多い味が濃いものや調味料の味にを離乳食時から与えていると慣れてしまいます。順応しやすいのも離乳食時の赤ちゃんの特徴です。
濃い味に慣れてしまうことで五原味を上手に判断できなくなってしまいます。
結果として味覚に難をきたすことになるのです。
-
- 好き嫌いが激しくなる
五原味を判断できなくなる味覚の障害により好き嫌いが激しくなってしまいます。
好き嫌いが激しくなるだけでなく濃い味を好んで選択する様になります。味覚が鈍くなっているため繊細な味では満足できないためです。
また、好き嫌いには食体験の少なさが関係してきます。
食べたことのない味
食べなれない味
に対しては「嫌い」と判断してしまうのです。
多くの多彩な味を繰り返して食すことによって
馴染みにある味
へと変わっていきます。
馴染みのある味に対しては「好き」と判断します。
好き嫌いの克服のためには「嫌い」を「好き」に変化させるために最初は嫌いと判断してしまう食べ物であっても経験し続けることが大切なのです。
-
- 肥満になりやすくなる
濃い味を毎日習慣的に摂取することにより、肥満になりやすくなります。
単に食事の量が多いだけではありません。一つ一つの食事の塩分の絶対量が多いために肥満体質に変わっていきます。
様々なメカニズムがありますが、例えば塩分の濃度は一定に保たなければなりません。
塩分濃度を調整するためには、排出するか体液を増やして濃度を一定に保つしかありません。
濃度を保つために体液を増やす。このためにも肥満体質になってしまいます。ちなみに体液の塩分濃度は約0.85%に保たれています。
-
- 生活習慣病が発生しやすくなる(高血圧など)
日頃の食生活により生活習慣病のリスクが高まります。
余分な塩分を排出するために腎臓が頑張って働くことは紹介しました。この時に一緒にカリウムまで排出してしまいます。
カリウムが不足することによるリスクは以下のとおりです。
[check_list image=”check1-b”]
-
-
- 脱力症状
- 不整脈
- 呼吸困難
- 神経過敏やイライラ
- その他
-
[/check_list]
大切な役割をになってくれているカリウムの不足は生活習慣病の発生にも影響を与えます。
以上、5つのリスクを紹介してきました。
気を付けた食生活により改善ができますので焦らずに実践していきましょう。
食事の工夫
離乳期には以下の点に工夫しておきましょう。
“素材の味や出汁の味を覚えさせる”
素材自体の味を覚えさせることは大切です。
大人でも濃い味の調味料がないと食べるのに困る人も多いのが実情です。ついつい大人の感覚で“素材をそのまま食べるのは不味いのでは?”と思ってしまいます。
しかし、離乳食期に素材の味を覚えさせることは、素材の味をきちんと味わうことのできる味覚を養うことにつながります。
また、旨味であるかつおだしなどの味を舌に擦り込んでおくこともよいでしょう。馴染みのある味にすることは「好き!」になるということに直結します。
これらの素材を大事に食べさせることは防御策になるのです。
防衛策になるとはどういうことでしょうか。
例えば、体にとって良くないおいしさは沢山あります。
脂っ濃い食べ物もそうですし、甘ったるい食べ物もそうですね。
砂糖や油の様な病みつきになり易く、癖になってしまう食べ物に安易に走らせることのないようにするためにも素材や出汁の味を覚えさせることは大切なのです。
工夫1 味付けを分ける
調理の最後に味を整えることがありますね。
かつおだしの出汁で味がとれた料理に醤油や塩で味付けをする前に子供用に先に取り分けておきましょう。
習慣になれば簡単なことですので無理なく続けることもできます。
工夫2 繰り返す
「おいしいよ!おいしいね!」と声を掛けてあげましょう。食卓で繰り返してえ声を掛けましょう。
また、子供に対して声を掛けるだけではいけません。
大人自身が「おいしいー!」と、本当に美味しいかと思いますが、より美味しそうに食べるだけで子供は興味が湧くものです。
食卓も和が広がりますので「おいしいー」と美味しそうに毎日の食卓を彩りましょう。
味がそっけないとごはんを食べてくれなからと大変な時もあるかと思います。
しかし、そんな時にこそ食卓を囲むみんなで楽しく食事をすることを心がけましょう。それにはやはり感嘆の声が大切ですね!
離乳食や幼児食に取り入れておきたい食材
離乳食の時から大人が心がけるだけで子供の好きな食べ物は簡単に増えていきます。
次の食材を入れておくように心がけたいですね。
- イモ類:じゃがいも、里芋
- 大豆加工品:きな粉、豆腐
- 野菜:トマト、ほうれん草
- 果物:バナナ
これらを少量でも少しずつ摂らせてあげるようにしておきましょう。
きな粉などはうちでも子供が喜んで食べますが、一緒に混ぜる場合は砂糖には気をつけたいですね。
まとめ
食事の塩分を考えること自体がこれまでの生活になかったかもしれません。
塩分のことを考えると神経質になることもあるかもしれませんね。
今回は塩分の摂り過ぎの危険性についてもみてきましたが神経質になり過ぎる必要はありません。
まずは食事を一緒に楽しむことからはじめましょう。
赤ちゃんと一緒に美味しい減塩の食生活を楽しむことは、体だけの話ではなく心にも良い影響をもたらしてくれます。
子供が健全であるためには自然に大人の食生活も変わっていきます。大人も子供も健全になれるのが離乳食期の醍醐味です。
大人の食の改善が子供の改善へとなるよう今日も楽しく健康な食卓を囲みませんか。
乳幼児が豆を食べることのリスクについてはこちらをお読み下さい。
最後までお読み頂きありがとうございました。